キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


皐月は気づいていたようだ。私に対して碧音君が自分を守るために無意識のうちに作り上げていた壁を、無くしたことに。


長い間碧音君の傍にいる皐月にとって、その変化に驚かずにはいられないのだろう。


恐らく星渚さんも藍も、皐月と同じように考えているはず。


「私が碧音君を追いかけていった時、聞いたの。碧音君の、昔の話」


皐月が目を見開き、口をパクパクさせる。まさか碧音君が話すとは思っても見なかったようだ。無理もない、簡単に人に話せる内容じゃないのだから。


「お前、聞いたのか。碧音の過去」


「話してくれたんだ」


心地よい秋の涼風が肌を撫でていく。目の前の信号がチカチカチカ、青から赤に変わる寸前だったから急いで走って横断歩道を渡ってしまう。


CDショップへ向かうにつれ、だんだん人も多くなってくる。ぶつからないようにと上手く人を避けつつも一歩先を歩く皐月に着いていく。


人混みの中でも、皐月の明るい髪色はよく目立った。


「……そっか、碧音。話したのか」


慈愛の色に染まる顔は、子供を見守る親のようだった。


いつもは碧音君にちょっかい出したりケンカしたりしてるけど、皐月にとっても碧音君は大事な存在で。碧音君のことを、常に気にかけていたんだろう。

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