キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「昔、自分にはこういう過去があったから、皐月に酷いこと言った浅野さんを許せなかったんだって、言ってた。自分のことを否定されるのが怖くて、必要としてくれたら嬉しいって」
「あいつから話聞いてんなら知ってると思うけど。前の両親には心の底から『お前なんかいなければいいのに』とか言われてたから。今でもトラウマで嫌なんだよ、そういう類の言葉」
「皐月と自分を重ねてもしょうがないよね」
「でも碧音、毒舌だろ。わざと相手を突き放すような言葉を言って、相手の反応や態度見てんだよ」
交差点を右折するとカフェや雑貨屋さんが立ち並ぶ通りに出た。ここを真っ直ぐ進めば目的地であるCDショップへ到着。
「不器用だなーとは思う」
「ほんと、不器用なんだよ碧音は。でも、それは碧音の周りの環境が、そうさせた。人との距離の測り方や接し方をよく知らないまま、成長したから」
台詞の端々から滲み出る、悲哀の感情。
多分言葉の裏には、もっと早く自分が碧音君と出会えていたら何かしてあげられたのにっていう後悔も、混ざってる。
「だからお前も碧音の言葉、よく聞いてやって。大切なことを伝えようとしてるときは、急かさずに待ってあげて欲しいんだわ」