キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】

「俺もノスタルジアはわりと好き」


「サビが特にリピートしちゃうよね」


頭の中でノスタルジアの歌詞を引き出し、口を開く。


「――あの頃の残像を追う僕らは――まだきっと囚われたままだ――」


「……!(やっぱこいつ、歌うまい)」


「――虚構に縋ってまで――未来を追う僕と君は――」


「…………(適当に歌ってんのに。声、が)」


「――Kiss me,Trust me――だよね、サビ」


「…………」


何も言わずじっと見つめてくる皐月。え、どうしたの。おーいと手を振った、ら。手首を掴まれてしまった。


「お前さぁ」


「ん?」


「……歌」


「歌が?もしかして歌詞間違えてたとか?あれ、合ってたはずだけど」


何とも言えない表情をする皐月に、首を傾げる。本格的に皐月の言いたいことがよく分からないぞ。


「……お前の、歌が」
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