キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「早くお店に入りますよー。わがまま言わないの」
「だだこねるガキに言う台詞じゃねぇか」
お店の前で皐月とわーわー言い合いしている最中『こんにちはー』店員さんにキラッキラの営業スマイルでロックオンされてしまった。
「よろしければ、コーヒーでもいかがですか?」
ああ、お姉様の笑顔が語っている。さっさと中に入って注文しろと。
皐月と目を合わせ。これはもう引き下がれないと確信し店員さんに誘導され日当りのいい席へあれよあれよという間に案内されたのだ。
通常の大きなメニュー表と共にカップル限定メニューと書かれた小さなメニュー表も渡されてしまうが、愛想笑いするしかなかった。
「……カップル限定メニューはいかがでしょうかお兄さん」
「お断りします」
皐月は瞬時にテーブルの上に通常メニューを広げた。カフェラテにカプチーノ、季節限定のマロンホイップラテなんていうのもあるから目移りして困る。
「こうしてるとさ、前にカップルだって偽ってカフェに入った時のこと思い出すね」