幾久しく、君を想って。
串揚げってこんなものなのか…と改めて知り、店先で嗅いだ匂いからしたら期待外れに近いな…と思った。


食べながら時々、松永さんをちらっと見た。
彼はコップ一杯のビールを少しづつ飲んでは、部長の今井さんや周りの女性陣に注がれている。

「もっと飲めよー」と呟く今井さんを適当にあしらいながら注ぎ返し、早目に飲み潰そうとしているようにも見えた。


もしかしたら、松永さんも今夜は飲み過ぎないようにしているのかもしれない。
今井さん達のペースに合わせて飲めば、私を送ることも出来なくなっては困ると思っているのかも。



最後に出された串揚げはベビーコーンとホタテ。
貝柱は甘くて美味しかったけれど、ベビーコーンの方は今一つだと思いながら食べきった。



「来月はイタリアンにしよう!」


会をお開きにした後、今井さんは半ば酔い潰れながらそう言った。
まさかチーズフォンデュじゃないよね…と思うと、小さく笑いが溢れそうになった。


ガヤガヤとメンバー達が店の外へと連れ立って出て行く。
私は足元のフラつく高本さんに手を貸しながら歩き、座敷の縁まで辿り着いた。



「高もっさん、飲み過ぎですよ!」


待ち構えていたように松永さんが声をかける。
ダーリンに嫌われますよ、と言いながら、店先からこそこそと中を覗き見る人を指差す。


「あー、健ちゃーん」


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