幾久しく、君を想って。
話しながら涙が零れ落ちて仕様がなかった。
情けなさと悔しさよりも、やはり哀しいと思う気持ちが勝っていた。
「幸いなことに、私には拓海がいたから勇気を奮い立たせて前を向いて行かないと駄目だと思えました。
あの子が居なかったら私、きっと人生を歩めなかったと思います…」
「…勇気を奮い立たせてですか」
話を黙って聞いていた松永さんの声が聞こえ、「はい」と小さく頷いた。
「……いいな。そういうお母さんがいると、子供は安心して大きくなれる」
松永さんの声がオブラートに包まれたかの様に優しく耳に届いた。
別れた夫にも言われなかったお母さんという言葉に、ボロボロと涙が溢れ落ちていった。
「ごめんなさい…」
こんなに泣きじゃくるつもりでもないのに止められない。
いろんな感情が押し寄せてきて、それが全て涙に変わった。
声だけは堪えようと右手で唇を隠した。
自分を抱くように左腕を右腕に巻きつける私を、松永さんの腕が包んでくる。
「………っ!」
駄目です…と首を横に振った。
誰かに慰めて欲しくて泣いているんじゃないと訴えたかった。
「いいんです。思いきり泣いても。今夜はそうして欲しくて、自分の話も始めました」
松永さんの声は深くて、今まで癒されてこなかった心の傷まで響く。