幾久しく、君を想って。


「宮野さん……?」


唇を離した彼が私の名前を呼んだ。



「………ごめん……なさい……」



枯れた筈の涙が零れ落ちてしまい、私は驚く彼に謝った。


きゅっと唇を噛み締めてから引き離した。


「一人で帰りますから」と言い張り、その場を走って逃げ去った。



走りながら自分には過去を仕切り直すことなんてできないのかもしれないと思った。


さっきの深いキスは、自分の過去を思い起こさせてしまった。








『……愛してるの』


胸の奥で、そうずっと囁いていた。


十年近く前の甘い記憶が、呼び起こされてしまった……。



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