幾久しく、君を想って。
「少しだけ先に行けば公園があります」


そこでなら大丈夫だと教えた。
松永さんは発信させる前に、拓海のことを心配してくれた。


「子供さんはいいですか?」


そんなに長い時間話すつもりもないから「多分」と答えると「じゃ手短に」と言って発進させる。


公園の駐車場に着くとエンジンを掛けたままでは迷惑だろう…と止め、「寒くないですか?」と尋ねられた。



「平気です」


緊張の所為か、あまり寒さは感じなかった。
けれど松永さんは心配だったらしく、ごそごそとジャンパーのポケットの中を探った。



「これをどうぞ」


取り出されたのはカイロだ。
驚いたけれど、折角だ…と思い、手を差し出した。


「あ…ありがとうございます…」


何処までも用意のいい人だな…と、小さく笑い出しそうになった。



「松永さん、ミントティーを飲みませんか?」


淹れてきました…とボトルと見せると、向こうも少しだけ微笑んだ。


「飲みます。何だか変に緊張して、喉カラカラだから」


車内で聞く声が近過ぎて、緊張しているのは自分も同じだと言いたくなった。
二人分の紙コップに注ぎ入れて渡そうとしたら、その手ごと一緒に彼の掌に包まれた。


ドキン…と胸が音を立て、彼の顔を見つめてしまう。
唇の端を少し持ち上げた彼が、「冷えてますね」と囁いた。


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