幾久しく、君を想って。
「あれは最低な思い出で……でも、私にとっては最後の願いでもありました。主人は相手と別れて、家庭に戻ると約束をしてくれたんです」
程のいい約束を信じて交わした甘いキス。
そんなことが出来るような人だったんだ…と、別れた後で知った。
「それを信じて彼を待ちました。…でも、結局は戻ることもなくて、私は一人で疲れきりました…」
彼に持たせた紙コップが少し歪んだ。
自分の指先に力が入ったのに気づいた人が、中身をごくんと飲み込んだ。
その様子を見ながら躊躇いつつも続きを語った。
「あの時、松永さんと交わしたキスが優し過ぎて、思わずあの日の夜を思い返してしまった。そしたら自分が急に惨めに思えてきて、堪えようにも堪えられずに、涙が溢れ落ちてしまったんです」
それでどうしようもなくなって逃げ出した。
松永さんからではなく、あのキスの思い出から逃げたかった。
「ごめんなさい……過去と擦り合わせてしまって……」
こうして居ても、何処か過去と似た場面が浮かんできそうな気がする。
それを抑え込むように松永さんを振り返った。
彼は手にした紙コップをホルダーに入れて聞いていた。
真剣そうな眼差しで見つめていて、きゅっと唇を噛みしめていた。
程のいい約束を信じて交わした甘いキス。
そんなことが出来るような人だったんだ…と、別れた後で知った。
「それを信じて彼を待ちました。…でも、結局は戻ることもなくて、私は一人で疲れきりました…」
彼に持たせた紙コップが少し歪んだ。
自分の指先に力が入ったのに気づいた人が、中身をごくんと飲み込んだ。
その様子を見ながら躊躇いつつも続きを語った。
「あの時、松永さんと交わしたキスが優し過ぎて、思わずあの日の夜を思い返してしまった。そしたら自分が急に惨めに思えてきて、堪えようにも堪えられずに、涙が溢れ落ちてしまったんです」
それでどうしようもなくなって逃げ出した。
松永さんからではなく、あのキスの思い出から逃げたかった。
「ごめんなさい……過去と擦り合わせてしまって……」
こうして居ても、何処か過去と似た場面が浮かんできそうな気がする。
それを抑え込むように松永さんを振り返った。
彼は手にした紙コップをホルダーに入れて聞いていた。
真剣そうな眼差しで見つめていて、きゅっと唇を噛みしめていた。