幾久しく、君を想って。
バッグの中から鍵を取り出し手渡すと、林田さんはそのまま拓海を連れて車へ向かった。


ワイワイ言いながら二人で荷物を下ろしている。
その様子を松永さんと眺め、お互いにホッとしながら笑い合った。



「頼りになる人だね」


そう言う彼の言葉に頷き、「本当に」と目を向ける。
「大いに任せなさい!」と豪語しただけのことはある。
流石は林田さんだ…と心強く思った。



「俺も頑張ろう」


悔しげな表情を見せる松永さんを振り返って笑った。

二人で並ぶように歩きだした姿を母に見られていたと知ったのは、林田さんと彼がご飯を食べ終えて帰った後のことだった。



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