幾久しく、君を想って。
遊び過ぎて疲れたらしいよ…と言い、背負ったままで靴を脱ごうとしている。


「ごめんなさい!我儘を言って」


起こそうと近づくと、負われた拓海の体から汗の匂いを嗅いだ。


「いいよ。このまま少し寝かそう」


声をかけても起きそうにない程寝入り込んでいる拓海を負ぶったまま、彼が部屋に上がってくる。

別れた夫にはおんぶもして貰ったことのない拓海が安心しきった表情でいるのを見た瞬間、言いようのない程胸が締め付けられてしまった。



(拓海……)


改めて自分との違いがあると気づいた。

私が頑張って相手をした所で、拓海にここまでの汗をかかせたり、疲れるきるまで遊ばせることなんて出来ない。

小さい頃ならともかく、今は歩くのも精一杯だし、走るのなんて到底追いつくことも出来ない。

それを知っているから拓海は私に遊んでともせがまないし、その所為なのか、ゲームばかりをすることが増えた。


知らないうちにいろんな我慢をさせていたのではないか。

本当は、思いきり遊んでくれる相手をずっと求め続けていたのはないか。


私にはそれを言ってはいけないと思い、口に出せなかっただけではないか。

こんなふうにずっと外で誰かと遊びたかったのではないか。


父親が居ればいいのに…と思っていたのではないのかーーー。



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