3センチHERO
するとそのとき、
「結子ー、ご飯出来たわよ」
お母さんの声がした。
時計に目をやると、針はもう6を指している。
なんだか三枝くんと一緒にいると、時の流れが早く感じるような気がする。
なんでだろう、不思議。
「私、リビングに行ってくるけど、三枝くんはどうする?」
「俺はいい。ここで待ってるよ」
「…でも、お腹すいてない?」
言い終わったと同時くらいに、ぐーっと音が聞こえた。
それも三枝くんのお腹から。
自分のお腹をさすり、照れたように笑う彼。
「やっぱり腹減ってたみたい」
「じゃあいくつか持ってくるから、ちょっと待ってて」
「ああ、悪いな」
「ううん」
何気ない短い会話。
だけど、それを一緒に出来る相手がいるって、こんなにも嬉しいものなんだ。
ずっと気付かなかった小さな幸せに、私は弾んだ気持ちで階段を駆け下りた。