見えない僕と彼女の気持ち
だらだらと滝のように流れる汗に閉口しながら、コンビニで買い込んだ食糧を手に家に帰る。
もう少しで帰り着く、ってとき。

「ちょっといいですか?」

「はい?」

掛けられた声に振り返ると警察官が立っていた。

「先程から怪しい人物がいると通報が入ってまして。
君のことだよね?」

あきらかに不審者を見る目。
まあ確かに不審者だもんな、真夏にこんな格好してたら。

「あ、えっと、これには事情があって」

「どんな事情?
身分証明書、みせて」

「……はい」

仕方なく、免許証を出してみせる。
警察官は写真と僕を見比べてるが、……判別なんてつかないよね。

「その帽子とサングラス、マフラーも外してもらえる?」
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