見えない僕と彼女の気持ち
冷蔵庫を開けてみると……空っぽ。
棚の中を探ってみても、クラッカーの一枚も見つからなかった。

……はぁーっ。

再び大きなため息が出る。

買い物に行こうにもいけない状況。
いまさらネットで頼んだところですぐには届かない。

……はぁーっ。

僕はまた大きなため息をつくと、嫌々外に出る準備をすることにした。

 
炎天下の中。
両手にずっしりと重い荷物を抱えた僕は、長袖長ズボンに手袋。
首元から鼻の頭までを覆うようにグルグル巻きのマフラー。
さらにサングラスに目深にかぶった帽子。

……はっきりいって不審者、だ。
現にコンビニでは不審な目で見られたし。
しかしこうでもしないと、透明人間だとバレてしまうので仕方ない。

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