見えない僕と彼女の気持ち
そうだよ、こんな花束抱えて歩くのは凄く恥ずかしくて。
でも、彼女が喜ぶ笑顔を想像したら嬉しくて。
あのときはあんなに、あんなに倖せだったのに。

気が付いたら、肩で息をしながら真っ赤な絨毯の真ん中に座っていた。

ははっ、乾いた笑いが僕の口から漏れる。

「愛して、いたんだ……」

ぽろぽろと涙が頬の上を転がり落ちる。
そのまま僕は泣き崩れた。

 
その後の僕の生活は。

……ずっと部屋に閉じ籠もっていた。

食糧は極力人に会いたくないので、保存のきくものを大量にネットで購入。
生活必需品も同じく。

配達員はやはり、受け取りに出た僕に面食らっていたが、……まあ、当面は頼むことがないから大丈夫だろう。

人との関わりのない、ひきこもりの生活は当然愛情を感じることなどもなく。
一月たっても僕は依然、透明のままだ。
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