見えない僕と彼女の気持ち
彼女は観た映画全てにレビューをつけるタイプらしく、彼女のレビューを探しては片っ端から読み、見たことない映画は配信されている限り観てみた。

ちょっと斜め上から観ているであろう彼女のレビューは多くの人に不評を買っていたが、僕からすれば面白くて仕方なかった。

まあ、僕もひねくれ者ってことかもしれない。

そのうち彼女のブログにまで辿り着いた僕はとうとう、……彼女にコンタクトをとった。
あなたのレビュー、面白いですね、って。

彼女からの返事は、読んでくれて嬉しいです、そう素っ気ないものだった。

それでも何度も、あのレビューのここが面白かった、あの映画は確かにあなたのいう通りだった、とかメッセージを送り続けた。

彼女も次第にガードが解けてきたのか、気さくに話してくれるようになった。

意外だったのが、レビュー内容はいつも熱いのに、彼女自体はどうも、控えめでおとなしい人のようだってことだ。

 
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