秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
「エリーゼ、わかってる? 騎士様というのは貴族とは違うのよ? あなた、彼がいない間心配して待つことや、侍女もいない屋敷の切り盛りをできるというの?」
「愛があれば何でもできるわ。私、今までお父様やお母様が望むことすべてに応えてきたもの。きっと大丈夫」
公爵夫妻が望むことは、公爵家の令嬢としてのプライドを保ちつつの女らしさ、所作、裁縫の技術などだろう。
それは貴族のもとへ嫁ぐのであれば有用であるといえるが、騎士のもとに嫁ぐ場合はいかほどか……。
コルネリアの知り合いに騎士に嫁いだものはいない。だから想像でしか語れないのだが、大丈夫と言い切るのは何かが違う気がする。
「エリーゼ、私やっぱり」
エリーゼの幸せを願わないわけじゃない。でもだからこそ、協力していいのか迷いが生ずる。
「お願いよ、コルネリア。……私、ずっとお父様に言われた人と結婚するんだと思っていたわ。政略結婚が当たり前なんだと。でも恋をしてしまったの。この気持ちを抱えたままほかの人を愛するなんて無理だし、お相手にも失礼でしょう」
「それは……確かにそうだけど」
「私、頑張るわ。あの人の妻としてふさわしい女になるの」
頬を染めつついじらしく言われれば、コルネリアとしても応援せざるを得ない。
「……わかったわ。じゃあ私がこのドレスを着ればいいのね」
「ええ。一緒に行きましょう。大型の馬車を用意してあるわ」
エリーゼが両手を打つと、どこに控えていたのか侍女が二名奥から出てきた。
「着飾ってあげてちょうだい」
静かに頭を下げ、戸惑うコルネリアの髪を結い上げ、化粧を施していく。