秘密のラブロマンス~恋のから騒ぎは仮面舞踏会で~
「コルネリアもいつもお化粧すればいいのに。ぷっくりした唇も、ぱっちりした目も、殿方を引き付けるのには重要なポイントよ」
「旦那様となる人がそうおっしゃるならするけど、花婿探しのためには必要ないわ。私は、私を妻にと望んでくださる人に、一生をささげようと誓っているの」
コルネリアは、ベレ伯爵の第一子であるが、弟妹とは母親が違う。同意の上での離婚だと聞いているし、父はコルネリアを喜んで引き取ったというが、そのことはコルネリアの心に影を落としていた。
きっと父が自分を引き取ったのは、政略結婚の駒として使えると考えているからだ。
逆に言えば、自分にはそれしか価値がない。
エリーゼのような暴挙に出たら、すぐに勘当されるに違いないのだ。
「好きな人と結婚したいとは思わないの?」
エリーゼは不満げに彼女を見つめる。
「そう言える立場にはないわ。……ああ、エリーゼ。ごめんなさいね。やっかんでいるわけではないの。その自由さはあなたの魅力よ。私は、あなたが幸せそうにしていてくれたら、それで十分嬉しいのよ」
エリーゼはぎこちなく笑い、自分はコルネリアが着てきた、飾りの少ない、シンプルなドレスを着こんだ。
生来派手好きの彼女にはやはり物足りないらしく、侍女に言いつけて胸元に花飾りをつけた。
そして祈るように手を合わせる。
「ヴィリー様。今宵、あなたのもとへ参りますわ」
夢見るようにそう言い、王子殿下が招待状とともに伝令に持たせた仮面をつける。
ここから、第二王子の私邸までは一時間もかかるというのに、気の早いことだ。