その唇で甘いキスをして…
原点に帰る
ハルさんとアタシはまた深く愛し合うようになった。

アタシへのハルさんの不信感は完全に消えるコトはないけれど…

それでも別れられないとハルさんは言った。

カオルの行方は相変わらず分からなかった。

でも…だんだんカオルが居ない事が当たり前になって…

カオルの事務所に行ったり、
通じない携帯に電話する回数も減っていった。

ジョウさんは店にはほとんど来なくなった。

やはりアタシとは距離を置きたいんだろう。

自分にそっくりな息子を持つアタシと深く関わる事は良くないとわかってるから。

アタシは穏やかな毎日を送った。

ハルさんは優しいし…
ジョウは可愛かった。

それでも物足りないのは友達が居ないからだ。

ジョウの学校のいわゆるママ友っていう人とも
ほとんど付き合いがなかった。

ジョウの学校のママたちは専業主婦が多い中、
アタシが仕事をしてるのが原因かもしれない。

それでもアタシがハルさんの妻だから
みんなはアタシに一目置いてた。

その中でもアタシは浮いてた。

育ちがいいわけでもないし…
バツイチ同士の出来ちゃった婚を狙った女だと
思われてたから。

ハルさんは有名人だ。

若くして病気の父の跡を継いだ大会社の社長で
あのルックスだ。

ジョウの運動会や学芸会など
ハルさんは忙しい中、時間を作って来てくれて
その度に注目された。

アタシはその度に多分どこかで陰口を言われてる。
< 121 / 131 >

この作品をシェア

pagetop