その唇で甘いキスをして…

「ご無沙汰しています。」

「何やってたんだ?まさかここで仕事してるのか?」

「いや、ここではもう働けませんから。」

カオルは昔、アタシのために
大事なお客さんの娘と駆け落ちして
信用を失い、ここでは働けなくなった。

「何となくこの海が見たくなって。」

「泊まるトコ決まってるのか?」

「え?あー、もう帰ります。」

「どこ住んでるんだ?」

「転々と…」

ハルさんはカオルを引き止めた。

夕方、Red Choralの姉妹店である
Starfishfishに行った。

昔アタシと一緒に働いてた
そして恋人でもあったケイタがそこにいた。

「げっ!ジュン?変わんねぇな。

あ、ハルキさんご無沙汰してます。
お元気でしたか?

え?カオル⁉︎どういう組み合わせ?」

ケイタは相変わらず毒舌でかっこよかった。

2年前、年上のユキさんというフォトグラファーの美しい奥さんをもらった。

「ユキさん元気?」

「うん。今はスペインに行ってる。

相変わらず世界を飛び回ってる。」

同窓会みたいで懐かしかった。

ここにジョウさんがいればなぁなんて思ってしまった。

カオルと時々目が合った。

2人で話したかったけど…そういう訳にはいかない。

ジョウが眠そうなので
アタシは奥の事務所でジョウと休ませてもらった。


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