その唇で甘いキスをして…
「お前とカオルがこんなことになるとはなぁ。」

ジョウさんはいつだってアタシの味方だった。

その逞しい腕に何度も抱かれたことがある。

そしてその優しい心を何度も傷つけた。

「ごめんね。迷惑ばっかりかけて。」

「結局お前はどうしたいんだ?

ハルキさんと別れるのか?」

「ジョウが心配?」

アタシとハルさんの危機はジョウさんにも関係ある。

息子のジョウに関わるからだ。

「そりゃ心配はするけど…

ジョウのためにお前が縛られることは無いよ。

何なら俺が引き取ってもいい。

できるだけ守るし、普通に幸せな人生を送らせるように努力するけど…いまよりずっと安全では無くなるかもな。」

それでもジョウをジョウさんに預けたら荊の道を歩くことになる。

「ハルさんは手放さないよ。

アタシにも置いて出て行けって…」

「そうか…それが一番かもな。」

アタシはジョウを想って泣いた。

「ジョウとは離れたく無い。

ハルさんとも離れたくないの。」

そしてハルさんを想って泣く。

「だったらカオルには会うなよ。

ずっとじゃない。

ハルキさんはお前とカオルを引き離す気なんか無いんだ。

誤解が解けるまで…な?」

誤解なんかじゃない。

あの時アタシは確かにカオルと情を交わしてしまったのだ。

「今、アイツとどうにかなったらハルキさんはお前を許さない。

いくらハルキさんが寛大でも…お前だけは譲れないんだよ。」

アタシだってハルさんを誰にも渡したくない。

ハルさんを愛してるのに
カオルをどうしても放っておけないのは何故なんだろう。








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