その唇で甘いキスをして…
ハルさんは次の週から福岡に行った。

何度も

「浮気するな。」

ってアタシに言った。

アタシはその言葉を重く受け止めた。

カオルにはハルさんが居ないことを秘密にした。

カオルは相変わらず女の人とデートしていた。

時には肌を合わせることもあるんだろうか?

救いなのはカオルが誰も愛せない事だった。

アタシはハルさんが居ないと寂しくて
ジョウの部屋でジョウと眠った。

あんなにアタシと眠りたがったジョウは
いつの間にか大人になって
1人で寝たがったけど
アタシは無理矢理ジョウの狭いベッドに入った。

「ママ、パパが居ないと怖くて眠れないの?」

なんて聞くから

「うん。」

と頷いた。

「じゃあいいよ。

一緒に寝てあげる。」

ミルクの匂いがしていたジョウはいつの間にか
男の子の匂いに変わった。

ジョウさんにあまりに寝顔がソックリで
切なくなった。

ハルさんはそんなアタシの息子を誰よりも愛してくれる。

アタシはハルさんに逢いたくなって
ハルさんに電話をかけた。

「どうした?」

受話器からハルさんの優しい声がする。

「ハルさん、寂しいよ。」

「俺も寂しいよ。

ジュン…浮気しないでな。」

たった1週間がこんなに辛くて堪らなかったのは
ハルさんがアタシを愛しすぎたせいかもしれない。

そんな時カオルを思った。

カオルはいつもこんな気持ちなんだろうか…?





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