その唇で甘いキスをして…
次の日アタシはカオルに会いに行った。

「これでいいんだよ。」

とカオルが言う。

カオルが1人になったら心配でたまらない。

「お願い、行かないで。」

カオルはいつも最後にアタシを捨てる。

「本気になり過ぎた。

あの夜から戻れなくなって…

わかってる。ものすごくダメな事だって。

ジュンを苦しめるてるし…ハルキさんだって…

俺があるのはあの人のおかげなのに…

甘え過ぎだよ。」

それでもカオルにはアタシたちしか居ない。

「友達ではもう居られない。
顔を見るのも辛いんだ。」

「カオル…嫌だよ。離れたくない。」

カオルは1度決めたら曲げない。

それでもアタシは縋る。

カオルが居ないと生きていけない。

泣いても泣いても涙が止まらなかった。

カオルはただアタシが泣き止むのを待っていた。

「もともとジュンの相手は俺じゃない。

ハルキさんじゃなきゃ幸せになれない。」

カオルは去る時いつも同じようなことを言う。

「でもお前がホントに人のモノになったら
昔みたいに寂しい時、俺を抱きしめて眠ってくれなくなって…
その身体に自由に触れられなくなる事が
こんなに辛いって思わなかった。」

アタシにはハルさんがいる。

寂しい時、抱きしめて温もりを与えてくれる。

でもカオルにはアタシ以外誰も居なかった。
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