その唇で甘いキスをして…
カオルが居なくなると言って
アタシは何も手につかなくなった。

そばに居ないと不安だった。

まるでカオルはアタシの身体の一部みたいで
アタシは人として機能しなくなりそうだった。

「カオルを引き留めたいか?」

ハルさんは悲しむアタシを見てそう聞いた。

「ごめんね…ハルさん。

アタシは…カオルが居ないとダメなの。

だけど…カオルとどうにかなりたいって意味じゃない…」

ハルさんは

「わかってる。」

と哀しそうに言った。

「オレにもカオルは大切だからな。

放っておかないよ。

それにまたアイツを1人で行かせたら
今度はオレがお前を失いそうだ。」

ハルさんは綺麗な長い指で
泣いてるアタシの顎を上向かせアタシをみつめる。

「ジュン…オレから離れないでな。」

アタシが頷くとハルさんがアタシの腰に手を回し
アタシを抱きしめる。

「ハルさん、心配しないで。
アタシはハルさんから離れたりしないよ。

絶対に…」

ハルさんがボロボロな泣き顔のアタシにくちづける。

ハルさんのキスがあまりに優しくて
今度はアタシがハルさんの首に腕を回した。

「ハルさん…もっとギュッとして。」

ハルさんはアタシをつよく抱きしめると
もう一度キスをする。

熱い舌が入り込みアタシの舌に絡まると
身体が熱を持つ。

その間だけカオルの事を忘れられる気がして
アタシはまたハルさんに溺れる。



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