その唇で甘いキスをして…
次の日ハルさんはカオルを呼び出した。

一緒に食事をしてその後ハルさんの書斎でお酒を飲んだ。

カオルが時々アタシを見つめてるのがわかったけど
アタシは決してカオルを見なかった。

「カオル…ここに居るのはイヤか?」

「わかってますよね?

今は2人を見てるのが辛いんです。」

「帰ってくるのか?」

「気持ちが整理できたら帰ります。」

「ウソ。帰らないつもりでしょ?」

アタシが口を挟むとハルさんが

「ジュン、ちょっと席を外してくれないか?」

と言った。

「どうして?」

と聞くと

「カオルと二人で話したい事がある。」

とアタシを部屋から出して鍵をかけてしまった。

部屋から出てくるとカオルはアタシを見て微笑んだ。

「何話してたの?」

って聞くと

「内緒。」

と笑った。

ハルさんの顔を見ると

「心配するな。」

とアタシの頭を撫でた。

ハルさんとカオルがその時何を話したかわからないけど
その夜ハルさんはアタシに言った。

「これからは昔みたいにアイツと接してやれ。」

「どういうこと?」

「アイツが辛い時は抱きしめてやれ。

淋しい時はそばに居てやれ。」

アタシはハルさんの言葉が理解できなかった。

ハルさんはアタシをカオルに譲るつもりなんだろうか…

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