その唇で甘いキスをして…

ハルさんは片手でアタシの手を握ったまま
もう片方の手で運転してる。

「オレも悪かったよ。

ジュンがここに帰るほど追い詰めたんだな。」

「ハルさん…離れたくないよ。

一緒に居たいのはハルさんなのに。」

ハルさんは突然クルマを路肩に停めて
アタシにキスをする。

アタシはハルさんのキスで安心する。

「ジュン…

居なくなった時オレがどんなに慌てたかわかってるか?」

「ゴメン。」

ハルさんはもう一度深いキスをすると

「今夜は近くに泊まろう。」

と言った。

ハルさんがいつも使うような高級ホテルは近くに無くて
アタシたちは郊外の寂れたラブホテルに入った。

「ハルさんがこんなとこ入るって不思議。

ていうか似合わない。」

ハルさんはベッドに横たわり
大の字になる。

ハルさんには不似合いの安っぽい布団の上で

「この前の続きをしようか?

お前がその気にさせてみろ。」

とアタシを誘う。

アタシはハルさんの身体を跨いで膝をつき
ハルさんのネクタイを緩め
シャツのボタンを1つずつ外す。

そしてその胸に顔を埋めて
ハルさんの胸に唇を押しつけていく。

ハルさんは顔を歪ませる。

アタシがベルトに手を掛けると
ハルさんの手が頰に触れた。

「今のお前、どんな顔してると思う?」

「え?」

「そんな顔、俺にしか見せるなよ。」

そう言ってハルさんは起き上がるとアタシをベッドに抑えつけた。

「ここからは逆な。俺が攻めるからお前が守れ。」

「野球じゃないんだから…」

そしてアタシは簡単にハルさんの腕に堕ちた。





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