その唇で甘いキスをして…
夫には言えない事

それからアタシとハルさんは
次第に仲良くなっていった。

カオルとは店で話をするくらいで

カオルはアタシに

「キスして。」



「抱きしめて。」



「オレと寝て。」

も言わなくなった。

そんな時、ジョウさんの周りがまたゴタゴタし出して

ジョウさんは店に来なくなった。

ジョウさんは抗争に巻き込まれて
店に姿を見せなくなって
1ヶ月後、また塀の中に入ってしまったようだった。

「ジョウさんは何かする時、
ジョウの事を思い出したりしないのかな?

だから悪いと思うこともやっちゃうのかな?」

ハルさんには言えない一言をカオルの前で呟いた。

「まぁ無理だろうな。

ジョウさんの世界はオレたちにはわかんないことが沢山ある。

後に引けないことだって男の世界にはあるんだ。

ジュン、それにジョウはもうハルキさんの子だ。

そう思って育てて来たんだろう?

ジョウさんだってそれを望んでる。」

「そうだけど…」

「ハルキさんにその言葉は聞かせるな。」

「わかってる。」

そう、ジョウはハルさんの子供だ。

それでもいつかハルさんの血が流れてない事をジョウが知る日が来るだろう。

その時、ハルさんとジョウはどうなるんだろう。



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