その唇で甘いキスをして…

ジョウさんのことはハルさんには話さない。

それがハルさんを裏切ることだとは思ってない。

今更アタシとジョウさんがどうにかなるワケは無いし、
アタシはただジョウさんにジョウの父親として
恥ずかしくない生き方をして欲しいだけだ。

アタシはその話をカオルにだけ話した。

きっとそれをハルさんが知ったら
またアタシたちの仲は壊れてしまうかもしれない。

ハルさんは最近仕事がいつにも増して忙しくて
ほとんど寝に帰るだけだった。

それでもハルさんはアタシの身体をたまに求めてくれた。

前なら決してこんな時、ハルさんはアタシを抱いたりしなかった。

今は無理してるんだろうか?

「ハルさん…疲れてるなら無理しないで。」

アタシはキスしようとするハルさんにそう言った。

「お前はしたくないの?」

「そういうわけじゃないけど…」

「なら、欲しいって言えよ。」

「うん…」

アタシはハルさんの頰を撫で

「ハルさんが…欲しい。」

と言う。

ハルさんはまるでスイッチが入ったみたいに
アタシの身体を愛し始める。

ハルさんを愛してる。

それは間違いないけど
アタシはジョウさんが姿を見せなくなったことに
不安を感じていてた。

次の日アタシはカオルに頼んで
ジョウさんに逢いに行ってもらった。
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