その唇で甘いキスをして…
真っ暗なマンションに着くと
ハルさんはアタシをベッドまで運んでくれた。

アタシはハルさんにキスをした。

ハルさんはアタシを抱きしめてくれたけど

「酔ってるお前は抱かない。」

と言った。

アタシはそんなハルさんの腕を掴んで引き留める。

「お願い。帰らないで。

1人にしないで。」

ハルさんはアタシの腕を解いて

「おやすみ。酔ってない時に会おう。」

と帰ってしまった。

アタシは悲しくて寂しくて泣き続ける。

ハルさんはアタシを捨てるつもりなんだと思った。

耐えられなくて電話したのはカオルだった。

結局アタシはカオルをマンションに呼んだ。

アルコールでふやけた頭が後先も考えず、もうどうなってもいいとさえ思ってた。

カオルが来て泣いてるアタシを抱きしめてくれた。

「カオル…もうダメかも。
ハルさん…アタシを捨てる気だよ。」

「だから言っただろ？」

カオルはアタシを抱きしめたままそう言った。

「オレと寝るか？」

「寝ない。」

「じゃあキスするか？」

「無理。」

「じゃあなんで呼んだんだよ？」

「わかんない。」

ただカオルの顔が見たかっただけだ。

辛い時に一番逢いたくなる人だから。

カオルがアタシの髪を撫で、涙を拭う。

そしてアタシの目を見つめる。

「ハルキさんに捨てられたら引き取ってやるから安心しろよ。」

そんなこと言われたら
アタシにはもうカオルしか居ないと思ってしまう。

ハルさんに冷たくされてボロボロなアタシの顔をこんなに愛しそうに見てくれるのはカオルだけだと思った。

そしてアタシは引き寄せられるようにカオルにキスをした。


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