その唇で甘いキスをして…
ハルさんにその事を告げたのは
次の次の日の夜、ハルさんの家での事だった。

ハルさんはアタシがハルさんを欲しくて来たのかと思ってたようで

「今日は酔わないで来たんだな。」

と笑顔を見せた。

その笑顔を見て別れる決意が少しだけ揺らいだ。

アタシはまだハルさんが好きだから。

「ハルさん…ごめん。家は出る。

次に住むところが決まったら
ハルさんのマンションも出て行くから。」

ハルさんはキョトンとした顔でアタシを見た。

「それは…別れたいって話か?」

「うん。」

「別居してまだ一ヶ月しか過ぎてない。
それでもう決断したのか?」

「うん…」

「カオルか?」

アタシはなかなかそれに答えられなかった。

でももう後には引けない。

そして…ハルさんの目を見て頷いた。

「カオルがそんなに好きか?」

「…この前ハルさんに拒まれて…もう自信を無くしたの。

でもカオルはどんなアタシでも愛してくれる。

ハルさんの事を愛してるけど…

もうあんな風に冷たくされるのは…耐えられそうもないの。」

ハルさんはずっと黙ってた。

帰ろうとするとアタシの腕を掴んで壁に押し付けた。

「後悔しないのか?」

何故か涙がこぼれ落ちて止まらなかった。

ハルさんはそんなアタシに強引にキスをした。

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