その唇で甘いキスをして…
「ジョウ、ごめん。

ビックリしたよね?

大丈夫。パパはいじめたんじゃないの。

ママが悪いことしたから叱られたの。」

ジョウが泣いてるのを見て
ハルさんも悪いと思ったみたいで
ジョウを抱き上げた。

「ごめんな。もうママを怒ったりしないから。」

ジョウは泣きながら頷いていて
アタシはジョウに謝った。

「ごめんね。泣かないで。」

そう言いながら自分が泣きそうだった。

アタシのした事はジョウを不幸にする事だ。

アタシはジョウを寝かしつけて
ハルさんのいるリビングに戻った。

「ごめん。

また日を改めてジョウが居ないところで話そう。」

「ジュン…」

ハルさんに名前を呼ばれてまだドキドキする。

「ん?」

「泊まってけ。」

「でも…」

ハルさんはアタシの手首を掴んだ。

「騒ぐな。ジョウが起きる。」

アタシはハルさんの気の済むまで
側に居ようと思った。

どうせ許されない。

今は執着してるだけだから。

「ハルさん…」

ハルさんは寝室に入るとアタシを抱きしめた。

「まだ俺の妻だよな?」

「うん。」

「離婚はしないから。覚悟しとけ。」

「ハルさん…ハルさんはアタシを愛してる?」

「お前は誰を愛してる?」

「…。」

まだハルさんを愛してるけどそれは言えなかった。

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