その唇で甘いキスをして…
甘い夜、苦い朝
アタシのついたウソは、確かめられるわけじゃない。

アタシが本当のことを言わなければいい。

ハルさんはカオルが言った事が真実かわからなくなるだろうし…

カオルはアタシがハルさんにそんな嘘をついた事を知らない。

どこまで情けないんだろう…

そう思いながらもカオルと最後までした事を知られたくなかった。

sexなんて大した事はない。

そう思ってずっと生きて来た。

でも…ハルさんにとってアタシのそれは裏切りだ。

一生を誓ったのだから。

アタシの隣で眠るハルさんを見て
そんな事を考えていた。

ハルさんは出会った時よりずいぶん年を取ったハズだけど

年を重ねるたび素敵になる。

眉間の皺も男なら勲章らしい。

笑うと出来るカラスの足跡も…何だかセクシーだし。

熱が高くなるとハルさんが欲しくなる。

アタシはハルさんの頰に触れてみる。

ハルさんはそれに気が付いて目を開けた。

「大丈夫か?熱は?」

ハルさんがアタシのオデコに触れる。

アタシはそんなハルさんを黙って見つめる。

「sexしたいって顔に書いてあるけど…」

ハルさんがアタシを見つめ返してそう言った。

「ウソ…」

「勘違いか?」

「勘違いだよ…身体が動かない。」

そう言いながら誘うようにハルさんの指にキスをした。

「なら大人しく寝てろよ。」

ハルさんはそう言ってアタシにキスをする。



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