クールな御曹司にさらわれました
「もともと、この家には週末俺ひとりでくることが多いからな。寝具は準備できているし、掃除も家の者が定期的にしてくれている。食材だけないから、こうして買い足すんだが」

「朝ごはんありがとうございます」

「ああ、ここのパンは美味いぞ」

確かに並んでいるパンはどれもとても食欲そそそる色艶。
それにしたって、この朝食を整えてくれた尊さんがやっぱりしっくりこなくて笑いそうになってしまう。
自分でパンも選んだってことだよね。
これが美味いからタマに食べさせてやろうって……あれ、なんかそれは嬉しいかも。

私たちは向かい合ってもそもそと朝食を摂った。
あまり喋らないけれどさほど気づまりでもない。そうか、私なんだかんだで羽前邸に御厄介になって一ヶ月くらい経ってる。この人との空間にも慣れてきてるんだ。

そして、尊さん自身、今日は完全にオフモードらしい。普段よりリラックスしたムードだ。
パンは本当にすごく美味しい。焼きたてということもそうだけれど、噛むほどじんわり染みる素朴なおいしさだ。目新しさはないけれど、安心する。

「まだ眠いか?」

「いえ、よく寝たから元気ですよ!」

「そうか、じゃあ昼のフレンチに腹を空かせて行くために、午前中は歩き回るぞ」

歩き回る??尊さんと??
私はまたしてもぽかん顔をしてしまう。


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