クールな御曹司にさらわれました
月曜は普段と変わらず始まった。しかし、違うことがある。
私が会社に到着すると、まず先輩社員がふたり、デスクに寄ってきた。

「金曜の人さ、レオマーケットグループの跡取りだよな」

この瞬間まで忘れていたけど、そうだった……私、金曜に尊さんに迎えに来られちゃったんだ。
もちろん、それは威力配備だったわけなんだけど。
あああ、思い出したら、すっごく恥ずかしい。
全然関係ない人が、家族ヅラして迎えにきちゃって、「兄妹みたいなもの」とか言っちゃって、みんなに見送られて退社って……社会人としてどうよ!

「真中、おまえ知り合いだったんだな」

「まあ、知り合いというか……」

「幼馴染、みたいなこと言ってたけど、付き合ってるとか?」

「付き合ってません!!」

そこは即答。
絶対、無理。尊さんと恋人同士に間違えられるとか無理。

あ、尊さん的にも無理か。こりゃまた失礼しました。

「そっか、とにかくさ、レオマーケットグループとのパイプが太くなるしいいよなって営業は話してたんだよ」

「うちみたいな小さな企業には、ちょっとのコネもでかいからさ」

うーん、私と尊さんの関係は借金取りと負債者なんだけど。表向きは兄妹のように育った幼馴染になっている。うーん。

「えっと、たぶん羽前さんもうちの社長と話したみたいですし、お仕事的には受注増えるんじゃないですか?」

私が苦笑いで答えると、営業のふたりは満足したように戻って行った。
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