クールな御曹司にさらわれました
「所詮、世の中、お金ってことだね」

私が深いため息をつくと、小森が肩をすくめた。

「何を今更なこと言ってんの。金だよ、金。金があればたいていのことはカタがつく」

ですよねー。
そして、金がなければ、私みたいな人間はすぐに蹴散らされて踏みつぶされちゃうんだろうな。
はあ、私の人生をお金が弄んでる気がする。

「でもさ、あの御曹司優しいじゃんか」

小森が不意に言った。優しい?何言ってんの、こいつ。誰の話してんの?

「羽前尊だっけ?自分の名前や地位を最大限利用して、真中を守ったんだろ?あの人は自分の金が、他人を守る武器になり得るって知ってるんだよ。それで、正統な使い方をしたんだ」

「……そうなのかな」

確かに、尊さんは私に手出ししづらくなるように自分の身分をひけらかしたんだよね。そこは間違いない。
なんか……あんな嫌なヤツなのに、嫌いと言いきれなくなるようなことをする。困る。

「案外、本気で真中に気があったりしてな」

「ない!それは絶対にない!」

全力で否定しておいて、私は午後の仕事に戻るのだった。




< 116 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop