クールな御曹司にさらわれました
「いいですか?えーと羽前さん」

「待て。俺のアイコンをぼやかすな。尊と呼べ」

なんで、そこに拘るのか。マイペースなお人!

「じゃ、っじゃあ尊さん!これはれっきとした誘拐ですよ?そして強要ですよ?犯罪ですよ!?」

「何を言っているんだ、真中妙。おまえは“父親の迷惑を詫びに、自らこの家にやってきた”のだろう?」

当たり前のように微笑んで言われ、私は言葉を失う。
……なに、その記憶改ざん。

「父親を訴えないでほしいと頼み込むおまえの熱意に負け、俺は父親の情報提供の要請をするとともに、今まで苦労してきた若い女子の花嫁教育と嫁ぎ先まで世話してやることに……」

「ないないない!そんな話ありえるかーい!」

思わずタメ口で怒鳴り返してしまう。

「ともかく、表向きはそういうことになった。あ、でも周囲には言うんじゃないぞ。口外すれば、おまえの友人の何人かは消えることに……」

「その本気っぽい脅しやめてくれません?」

世界観の違う金持ちの手段なら、何でもありそうだ。というか、本腰入れて脅されてる私!!

「では、今日から当分はここがおまえの部屋だ。夕食は後で運ばせる。用足しや風呂は、使用人を呼べ」

言うだけ言って出て行こうとする羽前尊が振り向いた。
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