クールな御曹司にさらわれました
「……お父さんのせいだからね」

「ん?妙?……そういえば、なんで妙はジロちゃんの息子さんとご一緒?」

「あなたの負債と我がグループへの敵対行動の対価は、彼女が支払うことで話がついている」

厳然たる尊さんの言葉。重々しい空気に、父の様子を窺うような笑顔が浮いている。

「真中妙は、レオマーケットグループのエネルギー資源部門で援助を申し出ている富豪・マヒド・アライサムに第四夫人として嫁ぐ。彼女がもたらす利益が、あなたの負債を減らすことになるだろう」

「またまたぁ、何言っちゃってんの、……ねえ」

「嘘じゃないから。お父さんがお金を返せなかった時は、私、石油と砂漠の国にお嫁入りだって、決まってたの」

父の顔色が明らかに変わった。
私と尊さんの顔を交互に見比べ、目をみるみるうちに大きくする。

「嘘だろ?……なあ、妙。親の借金のカタに娘が身売りとか……江戸時代じゃないんだから」

本当なんだよ。お父さんが裏切って借金したのは、そういう人たちなんだよ!

「妙……おまえ、嫁入りさせられるのか……?」

私も尊さんも答えなかった。父の開かれた唇が震えた。

突然、父が身体を起こす。
そのままの勢いで土下座の姿勢を取った。

「ジロちゃんの息子さん!すまなかった!悪いのは全部俺だ!!」

今更、何をやっているのだろう。もう取り返しがつかないというのに。
しかし、父は土下座のまま叫ぶ。

「警察に突き出してくれていい。内臓でも皮膚でも売って金にしろっていうならする。妙だけは勘弁してやってくれ!!」
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