クールな御曹司にさらわれました
「待って!待って尊さん!!」

今度は私が怒鳴った。もうホント、何この話の流れ!!!

「『私が好きな人と結婚するのが私の幸せ』……って部分が抜けてます」

尊さんに近づいて下から顔を覗きこむ。
正気?
今、この人正気!?

尊さんが驚いた顔で私を見下ろす。

「タマは俺が相手じゃ不満なのか?」

なに、その子どもみたいなぽかん顔!!
否定されるなんて思いもよらなかったという顔してる。

不満だよ、おおいに不満だよ!
だけど、その顔は反則だよ、一瞬可愛いとか思っちゃったじゃないか!!

「そうか、まずはタマに好いてもらうことが必要か。わかった、努力しよう」

「尊さんっ!そうじゃなくてですね!!」

「……俺も驚いたが、気付いてしまった」

尊さんが私の両肩をがしっと掴んだ。
あらためて、見つめてくる氷の美貌。いや、その頬がうっすら赤い。
この人のこんな顔を、私は初めて見た……。

「おまえが遠くに嫁入りしたら、俺は誰と朝食を食えばいいんだ?誰と夕食を食うんだ?」

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