クールな御曹司にさらわれました
尊さんが私の頬に触れた。それはもう柔らかく。

「タマとメシが食えなくなるのは……困る」

なにそれ。なんなの、その理由。
それが驚天動地のプロポーズの理由?

でも、目の前で照れたように頬を赤らめ、真摯な情熱を秘めた瞳で私を見下ろすこの人を『嫌い』『無理』と一笑に付してしまうことはもうできない私がいた。
この一ヶ月少々の同居生活で、私は彼を丸っきりの他人とは思えなくなっている。

立ち上がった父が割って入るように私たちを引きはがした。

「待って!ホント、待って!!俺、全然納得してないよぉ!?妙は俺の娘だかんね!!何勝手に目の前で嫁にもらう宣言してんの!?」

「お嬢さんを俺にください」

「言い直しても駄目――――っ!!なにそれ、突然すぎて俺、全然受け入れらんないっ!!」

やがて、加茂さんの迎えが到着し、まったく納得できていないまま私たちは羽前邸に向かうこととなった。

頭、パンクしそう……。




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