クールな御曹司にさらわれました
「私は……尊さんと結婚っていうのは」

「俺が嫌いか?前、はっきり言われたな。嫌いだと」

「嫌いというか……」

今はあのときほど嫌ではない。なんだかんだと一緒にいるし、腹も立つし意味もわからないけれど、この人なりに私を心配してくれていたのも知ってる。

「別世界の人だし、……うまくいくとも思えないです」

「タマの気持ちが聞きたい」

尊さんが立ち上がる。びくりと肩を揺らした私に近寄り、私の前にうやうやしくひざまずいた。

「おまえが好きになった。俺の妻になれ」

右手を取られた。
一瞬、手の甲にキスでもされるのではないかと身構えてしまった。
そのくらい尊さんの瞳は熱っぽく、語る口調は真摯な情熱を感じさせた。

しかし、私は答え方がわからない。
ただ、受け入れちゃ駄目だというのはわかる。
私はこの人を悪しからず思っているけれど、恋ではないし、流されちゃいけない。

尊さんだって、初めて恋をしたというのならそれが勘違いでないとどうして言えよう。

首を左右に振る。
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