クールな御曹司にさらわれました
仕事帰りに迎えにきてくれたり、部屋が花で飾られてあったり、プレゼントの箱が置かれてあったり、ちょっと普通の会社員が入れなさそうなレストランに連れて行ってくれたり……。

私はというと、高価なブランドバッグや服は『頼むからやめてください』と懇願し、返してもらっている。もともとブランドの価値がわからない人間がこれ見よがしに身に着けるものじゃない。正直、されたことのない貢物は重たくてしょうがない。
花や美味しい紅茶、ケーキなんかはありがたくいただいているけどね。消費できるものだし、もったいないし……。うん、このくらいはいいよね。

「あ、カラダの進展じゃなくてさ。実際、正式に婚約したの?」

小森がまたしてもデリカシーゼロで聞いてくる。カラダの進展なんかあるわけないにしても、婚約とかさあ!!

「しーてーなーい!!」

私は頭を抱えたまま、怒鳴り返す。

「親御さんに挨拶は?」

「……それはした」

というか、させられた。今回の一件は父の借金が大元だ。父の謝罪も兼ねて、先日初めて羽前二郎氏に会ったわけなんだけど……。

「お父さんのこと謝るつもりで母屋についてったら、あちらはご夫妻そろってて、うちのお父さんもいて、仲良く夕食……みたいなムードで……」

尊さんはすでにご両親に私のことを話したとは言っていた。しかし、あのときの雰囲気は思い出すだけでむず痒くなりそうなものだった。
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