クールな御曹司にさらわれました
「ご両親、めちゃくちゃ喜んでて、お父様は『玄ちゃん、僕らの子どもたちが結婚なんて夢みたいだね』なんて言ってるし、お母様は『妙さんが娘になったら一緒にお買い物に行けるわ』なんてはしゃいでるし……」

「脳みそ愉快なお花畑なの?レオマーケットグループ総帥夫妻は」

「言葉謹んで。少なくとも、ああいうほがらかご夫妻からどうして尊さんみたいな天才肌のパーフェクト超人が生まれたのかわからない」

ともかく、父こそ渋い顔はしていたものの、夕食会は和やかに進み、私はご両親の手前「結婚は納得してません!」とは言えずに終わってしまったのだ。

小森がビールをぐーっと飲みほし、店員を呼ぶため片手をあげる。

「御曹司、真面目におまえに惚れてるみたいじゃん。何がいけないの?」

「絶対、気の迷いだって!今までにいないタイプだから興味があるだけなんだよ!!」

尊さんの言葉通りなら、驚くべきことに私への気持ちが初恋ってことになる。
それじゃ、本物の恋とは判別つかないじゃない。ペットへの愛着が過度だったって可能性は?情が湧いちゃったってだけでしょ?

それに、尊さんから好意と厚意のお品物は数々いただいているけど、尊さん自身は今までと大きく変わらないのだ。
花嫁教育の頻度は週に二・三回に減ったものの、講師としての尊さんは意地悪エリートのまんまだ。

ただ、ときたま、その表情が優しくなるってだけで……ああ、これは大きな変化かも。今まで、こんなあったかい表情見せなかったもんなぁ。
そしてその表情はおもいのほか柔らかくて、それが私に向けられているものだと思うと、どきどきするのも事実。笑顔は、ちょっといいなと思ったり思わなかったり……。
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