クールな御曹司にさらわれました
ちょっと気軽に付き合ってみて、気が合わなかったらお別れしましょって感じにはならないと思う……。それはもう絶対。

「嫌いなら、真中の場合、即お断りするだろうし、尊きゅんに可能性はあるのかね」

「尊きゅんって言うな。……ううーん」

私は唸ってばかり。
すると、狭い居酒屋の戸が開き、尊さんが戻ってきた。後ろにはサラさんの姿も見える。

「ずるいわ、妙さん!私も誘って!」

きゃっきゃとはしゃぎながら入ってきたこのお姉さんも焼き鳥屋には不似合な美貌で、おそらくは尊さんの仕事の関係でここまで来たのだろうと思う。

「すまん、タマ。少し出なければならなくなった。30分後には出る。迎えは加茂を呼んでおいた。小森くんも家まで送り届けよう」

やっぱりサラさんが呼びに来たんだ。忙しいなぁ。
社長さんだもんなぁ。身分の違いをこういうときに感じるんですけど。

「じゃー、羽前さん、しっかり食べていった方がいいっすね。すいませーん、鶏五目ごはん人数分と焼き鳥盛り合わせ追加ねー」

小森が珍しく声をあげたのは、尊さんへの気遣いではなく、もうじきこの会が終わるので自分のお腹を満たしておこうってことだと思う。相変わらずちゃっかりしてる。

「鶏五目ごはんか、うまいのか?」

「すっげ、うまいっすよ。あ、お姉さんの分も頼んじゃってよかったですか?」

「もちろんです。楽しみだわ」

和気あいあいの三人を眺め、私はまたひとり唸るのだった。
は~、私、尊さんとどうなりたいんだろう。





< 139 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop