クールな御曹司にさらわれました





土曜日の朝、私は早起きした。着替えて、化粧もせずにダイニングに顔を出すと、お手伝いさんたちがあらという顔。

「真中様、申し訳ありません。まだ、お朝食はできていないんです」

どうやらお腹を空かせて早起きしてしまったと思われたみたい。食いしん坊キャラはつらいよ。私はあわてて、手も首もぶんぶん振った。

「違うんです!あの、急に言い出して申し訳ないんですが、お茶碗二杯分ほど炊けたごはんをいただきたくて……あと、海苔とか梅干しとか……」

「おにぎりを作られるんですか?」

問い返されて、あわあわと答えに窮するけれど、最後はおとなしく頷いた。隠しておくことは無理だもん。

「えっと、今日、尊さんと出かけることになっているので、簡単なお弁当を作ろうかと思いまして……」

食材も場所も、御厄介になってる羽前家頼みなのが申し訳ないけれど。

「まあ、そういうことなんですね」

お手伝いさんたちが顔をほころばせる。
うう、なんだかやっぱり恥ずかしい。
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