クールな御曹司にさらわれました
地図を再確認し、私たちは漕ぎ出した。
風がびゅんと頬を撫で、久しぶりの自転車の心地よさを覚える。

徒歩20分の公園は、自転車を使うと5分ほどだ。
しかし、私はすぐにこの選択が間違っていたと気付いた。

「タマ、死にそうだぞ。大丈夫か」

すいすいと先を漕ぐ尊さんを追って、私は自転車を立ち漕ぎしている。それでも追いつけない。

「公園というか、山だな、ここは」

「ほんと……ですね」

はあはあ言いながら私は答えた。
そう、この公園、到着してみたらほとんど急こう配の坂で、山登りの状態。
アスファルトに舗装はされているものの、いきなりの上り坂に面くらってしまった。
うう、体力はある方だけど、予想よりハードなデートを設定してしまった。

「芝桜が有名なのか」

先をいく尊さんが看板の案内を見て呟く。

「そうなんですよ。もうシーズンは終わっちゃいましたけど、少しは花が見られるかもしれないです」

自転車を必死に漕いでその広大な花壇に到着すると、花は終わりかけているものの芝桜の絨毯は見ることができた。花の色や種類を変えているため、芝桜はパズルマットみたいにくっきりと色が変わる。

「来年は花の盛りの時に来よう」

尊さんが当たり前のように言った。
来年、本当にこの人は私といたいのだろうか。
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