クールな御曹司にさらわれました
褒めないけど、っていうかそれどころじゃないし。

あきらかな荷造りを隠そうと、ボストンバッグを背中に隠す。
しかし、父はひゅっと真顔に戻り核心をついてきた。

「逃げるのか?」

ぎくりと固まる私。
答えられないでいると、父は私の横にやってきて、ボストンバッグに詰めた携帯の充電器をぽいと放り投げた。

「お父さん!」

「充電器は別なものを買って持っていけ。普段使っているものの中には盗聴器やGPSが仕込まれている可能性もある」

さらに父は私の財布を取り、普段見もしないポイントカードの束の中から一枚のカードを発見する。

「これも位置情報がわかるブツだ。妙、おまえは俺を探すように御曹司から言い使ったときに、様々なものを仕込まれているぞ。そのまま逃げたら、おまえの居所は一時間とかからず見つけられる」

父は私のスマホを手にすると、位置情報に関連するアプリを次々消していく。
確かに……位置情報アプリは入れさせられたし、持ち物に細工する暇はたくさんあっただろうけど……。

「これとこのアプリは逃亡中は使うな。居場所がばれるぞ」

「お父さん……いいの?」

私はおずおずと父の顔を見る。
父はきっと知っている。今夜が婚約披露パーティーだと。
そんな中私が逃げ出す算段をつけているという事実。

「いいも何も、俺は最初から妙の嫁入りには反対だからな?いきなり、かっさらおうとしてる御曹司にホイホイ娘をやれるか!妙が逃げようとしてるなら、全力で力を貸す」
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