クールな御曹司にさらわれました
「でも……お父さんの借金や……立場が……」

父はにいっと清々しく笑った。

「何言ってんだ!立場なんかないつうの!もう今更だろ!」

駄目男の開き直った笑顔ってなんでこうキラキラしてるんだろう。本当に、ほれぼれするほどの駄目っぷり。

「もともと俺が撒いた種じゃん。娘のおまえが何しても自由。俺に何かが降りかかってきたら自己責任。気にせず逃げろって。俺はどうにでもできるから!」

「お父さん……」

「あの才能と金でなんでも叶えてきた御曹司にホエヅラかかせてやれ。想像すると楽しいな!ひひ」

楽しそうにそんなことを言うんだもん。確かにこの人は、魅力的なんだよな。とんでもない甲斐性無しの借金男だけど!

「よし、これから隠れるのにいいネットカフェやビジネスホテルを指南する。メモを取れ。各大都市にそれぞれいいところがあるから」

なんでそんなこと知ってんのよ。とは言わなかった。

「俺、逃げるの得意だからな!」

自信満々に胸を張る父。
威張れることじゃないんだけどなぁ。でも、私はぷふっと吹き出し、それからメモをとる作業に入った。

ありがたく使わせてもらおうじゃない。お父さんの知恵袋。



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