クールな御曹司にさらわれました
朝から色々決められているようでうんざりするけれど、取り急ぎ朝の仕度をすることにした。
着替え、メイク、ヘアセットでジャスト10分。異常に早いのが恥ずかしい。御台寺さんはその間、部屋の外で待っていてくれた。

御台寺さんに連れられて同じ階の一室に向かう。あらためて、とんでもなく広いお屋敷なのは廊下を歩くだけでわかる。
昨夜は暗くて見えないんだと思っていた廊下は、明るくても先が見えないくらい長い。どうなってんの、ここ。

ふと、食べ物の匂いがふわりと鼻腔をくすぐった。香ばしい香りはトーストかな。こんな状況なのにお腹がぐうと鳴る。
一階の大きな部屋に入ると、広々としたダイニングスペースになっていた。

テーブルについてコーヒーを飲んでいるのは誘拐犯・羽前尊だ!

「おはよう、タマ」

「タマじゃないですけど、おはようございます」

「そこにつけ。朝食だ」

偉そうな命令に唇を尖らせていると、御台寺さんが横で言う。

「ここは、尊さん専用のダイニングです。これからお食事はこちらで」

「え!?」

専用ダイニングがあるの?親と同居なのに自宅で一人暮らしを満喫中ってか?
ちがうちがう、大事なことはそれじゃない。
つまり、毎朝この男と一緒にごはん食べるってこと?さらには夕食も?
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