クールな御曹司にさらわれました
「文句がありそうだな。聞かんが」

羽前尊……尊さんが冷たい目でちらりとこちらを見る。
そりゃあるわよ。昨夜の誘拐からこっちは何ひとつ納得できてないっつうの!

ひとまず席につくと、トーストとスクランブルエッグというアメリカンブレックファーストが運ばれてくる。とろとろの半熟スクランブルエッグとこんがり焼けた厚いトーストを見ると、お腹がまたしても素直に鳴った。

「食べろ、空腹なんだろう」

もしや、お腹の音、聞こえた?私は開き直って、ナイフとフォークを手にする。
一流のホテルのお食事!?というほど綺麗な見た目だ。お味は高いものなんか食べつけてない私にもわかる。めちゃくちゃ美味しい。そういえば、昨夜もスープとパンという簡単な食事が部屋に運ばれてきたけれど、すっごく美味しかったなぁ。

夢中で朝ごはんを食べていると、向かいですました顔の尊さんが言う。

「聞いていると思うが、今日は会社まで御台寺が案内する。帰りも迎えに行かせる」

「あの、それなんですが、ちょっと自宅に寄ってもいいですか?少しは自分の荷物を持ってきたいですし」

「俺が用立ててやる荷物では不満か」

「そういうわけじゃないですけど、慣れ親しんだものってありますよね。あ、それに、父が立ち寄ってないかも確かめたくて」

尊さんの希望に添ったような言葉を付け足す。尊さんはやや考えるような顔をしてから、答えた。

「わかった。それでは帰りは俺が迎えに行き同行しよう。御台寺、スケジュール調整してくれ」
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