クールな御曹司にさらわれました
新大阪にはまだ朝の早い時刻に到着した。
実は関西には初めてやって来た。知らない街過ぎてドキドキするなぁ。

駅中でパンとコーヒーの朝食を摂る。
あ、有名な肉まんの看板がある。食べてみたいんだよなぁ。お土産で買っちゃおうかな。
聞いた話だと、冷凍のお取り寄せと、生は味が格段に違うとかなんとか……。
こらこら、逃亡してるのに荷物を増やしちゃ駄目でしょ、私。

でも、ちょっとならいいかな。このまま大阪観光をしちゃおうかな。
初めて来たし、くいだおれの街ってことは美味しいものたくさんだろうし。通天閣とか行ってみたいな。USJはひとりで遊んでも楽しくないかな。

そんな思考に、自分の緊張感が緩んでいることに気づく。
安心できる状況じゃないのに、疲れと眠気で判断が鈍っているのかもしれない。

ぼんやりついでに考える。
私はなんで逃げてるんだろう。逃げないで話し合うべきだったんじゃないの?

急にいなくなって、追われていると知りながら逃げまわってずるくない。
いや……、これはきっと私なりの復讐。
尊さんへの復讐。


え?……『復讐』って?


なんで?


自分の脳裏に過った言葉にぎょっとする。

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